先回りしない対応
(不登校、引き籠もりなどの心が辛い子どもについて)

先回りをしない対応は常識と全く逆です。常識では何かをできない子どもに、先回りをしていろいろと手配をして、その子どもがそれをしたときに、必ず成功をして、自信を持たせるのが良いと考えられています。それで良い子どものことはここでは省略します。

不登校、引き籠もりなどで心が辛い子どもでは、先回りをしない対応が子どもの心を元気にします。つまり先回りをして対応をしてもらっても、それができない子どもは、とても強い自己否定を生じてしまうからです。また、先回りをした対応をしてもらって、それをできたとしても、子どもは青息吐息でそのことをしていますから、とても自信になりません。「やっとたどり着けた、もう堪忍してくれ」という感じになっています。そして次にそれをしなくてはならなくなったときに、先回りをした対応をしてもらっていないと、それができません。何もできない時よりはより強い自己否定を起こしてしまいます。

ほとんど全ての大人は子どもの心を知りません。どの大人も子ども時代を過ごしてきていますが、大人になったとたん、子どもの心を忘れています。というより心が大人の心に変わっていて、大人の心と違う子どもの心を知りようがないのです。ですから、大人が考えた子とものためになることは、大人の心でそのように考えたと言うだけで、ほとんど全て子どもの心に沿っていません。

もちろん心が元気な多くの子どもについて、このように考える必要が無いのですが、不登校、引きこもりの子どもの対応をする大人は、自分は子どもの心が分かっていないと考えて、子どもの要求にそった対応をする必要があります。それでも不登校、引き籠もりの子どもの子どもの多くは、大人の前では「よい子」を演じて、自分の心でなく、大人の心を優先して言葉を発すること、無理をして大人の思いを実現しようとすることが多いです。

自己否定について以前詳しく述べましたから簡単に触れておきます。自己否定は本能的な辛さの一つです。大事件に遭ったと同じような心の反応を起こします。

子どもが荒れたり、問題行動をするとき、又は心の病の症状を出しているとき。このときは先回りをしてでも、子どもの言葉に共感の言葉だけを介してスキンシップをするのが良いです。子どもが言葉で要求してきたことだけをしてください。それ以上のこと、先回りをするとその努力が逆効果になります。
子どもが荒れたり、問題行動や心の病の症状を出さなくなったときには、子どもの要求を100%満たして、子どもを見ない子どもに言わない、母親の笑顔です。

どの場合も共感の言葉以外を言いたいときには、子どもが言った言葉をオウム返しにするのが良いです。それ以上の言葉を返すと先回りをした対応になりますから、子どもとの関係が悪化します。

>共感て相手の言葉のリピートすると良いですか?全部とは言わないですが。
子どもは理由もなく(本当はあるのですが気づかないだけ)心が辛くなって、不登校、引き籠もりになっています。ですから子どもの心(情動。大人の心と違うことに注意)は辛い状態です。表現としては辛い、いらいらするなど、いろいろな言葉が可能でしょうが、簡単に「辛いのね」だけで大丈夫です。それ以外の言葉は子どもの言葉をオウム返しにするのが良いです。

もし本当に子どもの心が分かる大人なら、このようなことを考える必要が無いです。しかしそのような大人は皆無です。



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