あるところでアレクサンダー・テクニークというのが話題になりました。それはアレクサンダーという俳優が声が出なくなり、それをどのように克服したかという話しでした。そのときの話しが、子どもの心を理解するのに役立つと思いますので、転載しておきます。このことを理解できなくても、母親なら大丈夫です。父親には是非理解してもらってください。
アレクサンダー・テクニークという名前は知りませんが、特に心が辛い子どもの心の世界ではこの現象が非常に頻繁に起こっています。殆ど全てと言って良いと思います。しかし子どもの世界では、子どもに問題があると考えられて、子どもを治療することに主眼が置かれていて、子どもの心の中でこのアレクサンダーに起こったことが起こっていると考える人がいないのです。それを説明しておきます。
人間の心には言葉になる顕在意識と言葉にならない潜在意識とがあります。
潜在意識には習慣(大脳新皮質)と情動(大脳辺縁系)があります。
情動には接近系と回避系があります。これらは主として本能と、母親から受け継いだ情動(具体的に何が接近系になり、何が回避系になるかと言う点です)とがあります。
接近系の本能には、生きようとする本能、子孫を残そうとする本能の他に、子どもでは成長しようとする本能があります。これらは全てホルモン、自律神経の反応を伴います。
回避系では、逃げる、逃げられないときにはよい子を演じる、よい子を演じられなくなると荒れる問題行動をする、荒れる問題行動を取れないと心の病の症状を出します。これらは全てホルモン、自律神経の反応を伴います。
回避系の荒れる問題行動を取ると心の病の症状を出すとは、個人の反応の傾向(性格)に関与しているようですが、心の病の症状を出す方が回復が難しいように感じています。荒れる問題行動には家庭内暴力、虐め、万引き、傷害事件、発達障害の症状などがあります。病的症状には声が出ない、手足が動かない、過敏性腸炎、鬱病、統合失調症などがあります。この事実を多くの人は知らないのです。
人がストレス状態にある(回避できない嫌悪刺激に晒されている)ことを、人間は知ることができません。ただ知ることができるのは体に表れた症状から知ることができるだけです。アレクサンダーの例では、自分自身がストレス状態にあることに気づいていません。ただ気づいたのは声が出づらくなったという事実です。多くの人は単に声が出づらい問題が生じたと考えますが、人間の心から言うなら、回避系の刺激を受けて、その刺激から逃げられないので、その回避行動として、アレクサンダーでは声が出づらいという症状を出しただけです。きっとアレクサンダー・テクニークというのは声を出すための又は緊張を軽減するための方法でしょうが、心という立場から言うなら、回避できない嫌悪刺激がある、その回避できない嫌悪刺激を、どのようにして知識から回避するかという問題なのです。
子どもでは、この回避できない嫌悪刺激を母親の母性で解消します。ですから、母親がいない子ども、母性が機能をしていない母親の子どもでは、その解決が大変に難しくなる傾向があります。
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