子どもの行動学(行動条件反射の提案)
$1 子どもの行動学
子どもは言葉を話しますが、言葉からの行動ができないかとても下手です。それは前頭前野部分の髄鞘化が不十分なことから生じています。
言葉からの行動とは意識行動です。この意識行動は個人差があって意識行動の理解の理解、理論化はとても難しいです。ところが子どもはこの意識行動がありません。子どもに大人のような意識行動があるように見えるときがあっても、それは気づかない情動刺激からの情動行動です。子どもには動物の行動学がそのまま当てはまる場合が多いです。そして大人の行動を知るには、子どもの行動の仕方に大人の持つ意識行動の要素を加えれば、理解が可能になります。
$2 子どもの性格
刺激を受けて、内在的な欲求からの行動の仕方反応の仕方を性格と言います。その子どもの性格は
*子どもの本能
*母親から受け継いだ情動
*成長と共に、子どもの本能と情動から行動をした結果の経験
から成り立ちます。年長の子どもでは、子どもの本能と情動から行動した結果の経験の割合が大きくなります。
$3 条件反射
条件反射とは、無条件刺激と無関刺激が同時に存在すると、その個体は両方を認知(意識するとは限らない)すると同時に、大脳辺縁系の扁桃体で無条件刺激から生じる情動の神経回路に無関刺激の神経回路が結びついて、それ以後無関刺激があると無条件刺激の神経回路で反応をするようになる現象です。その仕組みは省略します。つまり無関刺激が無条件刺激の情動を体中に表現するようになります。条件反射では道具的行動に表現されません。
$4 遅延条件反射
遅延条件反射とは、無関刺激を受けても、その無関刺激の記憶が大脳新皮質の神経回路に残っています。これを短期記憶と言います。その残った大脳新皮質の神経回路の情報は=短期記憶は残っている間も大脳辺縁系扁桃体に送られ続けられています。そこに新たに無条件刺激が加わって、短期記憶の無関刺激と無条件刺激との間に、条件反射と同じことが起こってしまいます。当然、無関刺激と無条件刺激との間の時間的なずれが少なければ少ないほど、条件反射が強く学習されます。
$5 条件反射と遅延条件反射との違い
つまり条件反射と遅延条件反射の違いは、無関刺激と無条件刺激が同時に存在するか、時間的にずれてしょうじるかの違いです。この無関刺激と無条件刺激との時間のずれは、何で生じても良いです。オペラント条件付けではその間に行動がある場合です。
$6 遅延条件反射とオペラント条件付け
オペラント条件付けでは無関刺激が存在している環境下で、たまたま又は他からの関わり(prompt)である行動が生じて、その行動の結果無条件刺激が生じたとき、その後の行動がどうなるかを示しています。その際に無条件刺激がそのある行動に影響を及ぼす及ぼし方についての考え方です。
Skinner's box(ネズミのケージの中にボタンとえさ箱があり、ボタンを押すと餌が出てくる)でのネズミの観察は遅延条件反射の一面の観察だけです。また、ネズミの行動は新しい環境下での探索行動(新奇刺激は動物が持つ本能で不安を生じます。その不安を解消するために新しい環境を知ろうとする行動)です。人間でも新しい環境下での探索行動に当てはまりますが、人間の場合には探索行動以外の情動行動や意志からの行動があり、オペラント条件付けが当てはまらない場合が多いです。
探索行動の結果ネズミがボタンに触れたとき、餌が与えられたことから、ネズミは積極的に繰り返しボタンに触れて出てきた餌を食べ続けます。
この実験を続けていますと、やがてネズミはボタンを押して餌が出ても餌を食べに行かなくなりますし、ボタンを押さなくなります。オペランド条件付けとは異なってきます。オペラント条件付けは空腹のネズミに成立する遅延条件反射なのです。オペラント条件付けは、実際のネズミ、実際の人間ではある条件下(探索行動)で成立しますが、それ以外の要素を踏まえて考える必要が出てきます。そこまで踏み込んで考えるのが遅延条件反射および脳科学です。脳科学心理学です。
オペラント条件付けでは、行動の結果が行動にどのように影響を及ぼすかを考えるのに便利です。行動を強化する物(強化因子)を促進因子、行動を抑制する物を抑制因子と表現します。その影響の仕方は情動ですから、無条件刺激は、接近系と回避系に相当します。行動の習慣化の問題を考えるときには、行動の結果として生じる強化因子が条件刺激が接近系か回避系かを考えた方がより正確に行動を理解できます。オペラント条件付けの促進因子には情動の接近系も回避系も有りますし、抑制因子には情動の接近系も回避系も有ります。
オペラント条件付けは数回条件付けを行うことで成立します。オペラント条件付けが成立した時点で、オペラント条件付けされた動物にとって、先行刺激は無関刺激から情動刺激に変化をします。強化因子が接近系ですと、先行刺激が接近系の情動刺激に、強化因子が回避系ですと、先行刺激は回避系の情動刺激になります。オペラント行動は先行する情動刺激によって引き起こされた情動行動、情動を実現するための行動=道具的行動になります。
学習した情動刺激は一種の記憶です。その記憶を長期間使用しないと忘れてしまいます。オペラント条件付けが解消されてしまいます。先行刺激が提示されてもオペラント行動を生じなくなります。しかし、それでも強化因子が提示されると、急速にオペラント条件付けが回復します。
オペラント条件付けが成立した条件下では、先行刺激が提示されますと、オペラント行動(道具的行動とも言う)が生じます。オペラント行動が生じて、その後に強化因子があると、その後も先行刺激が提示される度にオペラント行動を生じます。それ故に習慣化と表現されますが、オペラント行動が習慣化しても強化因子が必要だという事実を忘れないでください。
強化因子が接近系ですと、接近系には慣れがあります。接近系の効果が減少します。その結果、長時間オペラント条件付けをして居ますと、オペラント行動は習慣化しますが、同時にオペラント行動は段々弱くなっていき、場合によってはオペラント行動が消失してしまいます。
もし接近系の強化因子が突然無くなると、オペラント行動をした後に動物は葛藤状態になります。先行刺激が提示されてもオペラント行動をしないで、その場にそぐわない問題行動をするようになります。行動の習慣化が壊れてしまいます。それ故にオペラント行動の習慣化を維持するためには強化因子を与え続ける必要があります。
強化因子が回避系ですと、オペラント行動は大変に複雑に変化していきます。まず先行刺激が回避系の条件刺激として学習されます。その結果先行刺激が提示されると、回避系のオペラント行動を取りますが、繰り返されることで、回避系の刺激の相乗効果、汎化を生じて、複雑な回避行動取るようになります。示された先行刺激でのオペラント行動は無くなり、絶えず回避行動だけをするようになってしまいます。
$7 Skinner's boxで説明
ケイジの中のボタンが先行刺激です。そのボタンを押すのがオペラント行動です。ボタンを押すと出てくる餌が接近系の強化因子です。
習慣化1)ネズミが何かの拍子にボタンを押したら餌が出たので、ネズミは直ぐにボタンを押して餌を得るようになります。そこでボタンを押す習慣化が生じました。
習慣化2)これを続けていますと、ネズミは満腹になって来ます。ボタンを押すのが習慣化していますから、ボタンを押しますが、餌を積極的に食べようとしなくなります。満腹により強化因子が弱まってきたからです。その内にボタンを押すことすらしなくなります。
習慣化3)ボタンを押して餌を得る行動が習慣化したネズミの、その習慣化したネズミのボタンを押そうとする行動を何かで止めることを考えます。接近系の強化因子例えば餌を与えたとき、ネズミはボタンを押さなくなります。ボタンを押さないで餌を得ようとします。これが習慣化した行動をさせないためのオペラント条件付けになります。このとき与えられた餌は接近系の抑制因子です。
習慣化4)ボタンを押して餌を得る行動が習慣化したネズミの、その習慣化したネズミのボタンを押そうとする行動を何かで止めることを考えます。回避系の強化因子例えば電気刺激で痛みを与えたとき、ネズミはボタンを押さないで逃げ出します。これが習慣化した行動をさせないためのオペラント条件付けになります。このとき与えられた痛みは回避系の抑制因子です。これを数回繰り返すと、ボタンは接近系の条件刺激から回避系の条件刺激になってしまいます。ネズミはボタンに近づこうとしなくなります。痛みは回避系の抑制因子になります。
習慣化5)ボタンを押して餌を得る行動が習慣化したネズミの、その習慣化したネズミのボタンを押した後、餌を与えないで電気刺激で痛みを与えたとき、ネズミは葛藤状態になります。混乱状態になります。それを何回か繰り返すとネズミはボタンを押さなくなります。ボタンが回避系の条件刺激になります。ボタンに近づこうとしなくなります。痛みは回避系の抑制因子になります。
習慣化6)ボタンを押して餌を得る行動が習慣化したネズミがボタンを押した(オペラント行動)後、餌を与えないとき、ネズミは葛藤状態になります。混乱状態になります。それを何回か繰り返すとネズミはボタンを押さなくなります。ボタンが回避系の条件刺激になります。ボタンに近づこうとしなくなります。接近系の強化因子がなくなることは、回避系の抑制因子になります。
習慣化7)ボタンを見て、そのボタンを押さないでいても餌(習慣化した行動の接近系の抑制因子)を得られるようになっていてネズミが、その餌を得られなくなると、つまり習慣化した行動の抑制因子がなくなると、今までの習慣化したオペラント行動が現れてきて、ネズミはボタンを押して餌を得るようになります。習慣化したオペラント行動が記憶されていたからです。習慣化したオペラン行動の神経回路は脳内に長く存在します。そのオペラント行動が表面化しないのは、そのオペラント行動の神経回路が何かの理由(この場合は習慣化した行動の接近系の抑制因子)で抑制されて、表面に行動が表れないだけです。
習慣化8)ボタンを押して餌を得る行動が習慣化したネズミがボタンを見て、オペラント行動を起こして、餌を与えられないばかりか、電気刺激などで痛みを受けたら、ネズミは葛藤状態に成って、混乱状態に成って、それ以後ネズミはボタンを見てもオペラント行動を取らなくなります。このときの痛みは回避系の抑制因子になります。ボタンも回避系の条件刺激となります。
このとき、ボタンを押した後餌と電気刺激による痛みとを同時に与えられたら、その反応はとても複雑です。ネズミの空腹の程度と電気刺激による痛みの強さによって異なります。ネズミの空腹の程度が強くて電気刺激による痛みが弱いと、ネズミは痛みを与えられてもボタンを押して餌を得ようとします。ネズミの空腹の程度が弱くて、痛みが強いと、ネズミはボタンを押さなく成ります。
痛みは回避系の抑制因子になります。接近系の抑制因子より効果的にオペラント条件付けで成立した習慣行動や他の習慣行動を効果的に抑制できます。この際に見た目には習慣行動の抑制と観察されますが、先行刺激が回避系になっていて、先行刺激がある限り情動に不安を生じていることを忘れないでください。この痛みを取り除き餌を与えると、ある時間をおいてネズミは元の習慣行動が出てきます。
$8 先行刺激が回避系の場合
以上は先行刺激が無関刺激か接近系の刺激の場合でした。以下は先行刺激が回避系の場合です。ケージの中のボタンにネズミが回避系の情動を学習している場合です。ネズミは自分からボタンを押すことはありません。ボタンの存在でネズミは回避行動を取ります。ボタンはpromptとも理解されます。
習慣化行動9)ボタンが既に回避系の先行刺激となっている場合で、何かの理由で(prompt)でネズミがボタンを押した場合です。ネズミは餌を得ることができます。この際のボタンが持つ回避系の強さと、えさが持つ接近系の強さでその後のオペラント行動が異なってきます。餌が持つ接近系が強いとネズミはボタンを押して餌を得ます。繰り返すことでこの餌によりボタンの回避系は段々弱まって、最終的にボタンが接近系になってしまいます。
習慣化行動10)餌が持つ接近系の強さがボタンの持つ回避系と同じぐらいかそれ以下の時、ネズミは一時的に回避行動を弱めますが、その後又回避行動を続けます。つまり先行刺激の回避系と抑制因子の接近系の力関係でその後のネズミの行動が異なってきます。
習慣化行動11)何かの理由で(prompt)でネズミがボタンを押したとき、ネズミに電気刺激などで痛みを与えたとき、ネズミはまずその傷みに反応して暴れるという回避行動を取ります。その後傷みがなくなっても、ボタンがある限り、暴れるなどの問題行動をします。痛みが回避系の強化因子になります。ボタンの持つ回避系の条件刺激がより強くなります。それだけでなく、ケージなどのボタンの周囲にある物に回避系の条件刺激を学習してしまい、その回避系の条件刺激から、ボタンがなくてもネズミは荒れ続けることになります。ネズミによって回避系の条件刺激は異なりますが、ボタンがなくても回避系の条件反射を起こしてしまいます。トラウマ=fecorを受けた状態になります。
$9 オペラント行動と道具的行動
オペラント条件付けとは、先行刺激があって、その時ある行動があって、その行動の結果がそのある行動を強化したり、抑制すると理解する考え方です。その結果がどのようにその行動を強めたのか、その行動を弱めたのか、その仕組みは配慮していません。
しかし現実は、先行刺激があって、行動があって、その後その先行刺激があるとその行動が強まったか弱まったかという事実です。行動の結果が直に行動を強化したとか抑制したとかの説明はできませんし、証拠もありません。
遅延条件反射の考え方(実際の脳の中の神経生理)では、先行刺激があり、たまたまなされたその行動の結果で、先行刺激が接近系の条件刺激になったのか、回避系の条件刺激になったのか、そしてその条件刺激が強化されたのかどうかの問題です。それを神経生理学的に解明する必要があります。そして行動とは、最初は先行刺激に対してたまたま生じた行動の結果、先行刺激が条件刺激になり、その条件刺激に対しての道具的行動となって生じているのであり、条件刺激が強ければ強いほど道具的行動は強まることになります。
しかし実生活では何が条件刺激になっているのか分からないことが多いです。条件刺激が分からない状態で、行動と結果との関係を考えなくてはなりません。そこで結果が行動を強化したとか抑制したとか考えざるを得ません。人間(動物では擬人化することで)では、その行動の結果を観察者自身の判断に置きかえて、その判断からそれ以後のその行動を強化したか、抑制したかを持ち出して理解しています。又その様に考えることで、完全ではありませんが、かなりのことが説明できます。完全な考え方をするには遅延条件反射の考え方を当てはめる必要(行動や強化因子が接近系か回避系かの区別)があります。
$10 行動とは
動物も人もある環境の中にいる。その環境から何か刺激を受けて、その刺激を認知して、脳内に存在する情報から反応をする。この反応が体の動きに洗われたとき、これを行動という。表情は体の動きとは言えないが、その神経支配の形態から言って一種の行動とする。
行動を生じる要因からの分類
行動1)本能からの行動
行動2)主として母親を真似して身につけた行動
行動3)他からから強要された行動
行動4)意志(知識)からの行動
$11 習慣行動とは
(元来意識に上らないけれど意識に上ることもできる、繰り返される行動)
習慣行動は
習慣行動1)本能からの行動が習慣化
習慣行動2)主として母親を真似して身につけた行動が習慣化
習慣行動3)本能と真似からの行動を繰り返して行動が習慣化
習慣行動4)オペラント行動(強化因子が必要)を繰り返す習慣化
習慣行動5)人間の大人では意識行動を繰り返すことで習慣化
習慣行動2)〜5)は文化の影響を強く受ける
躾とは行動2)と行動3)の内で社会にとって好ましくない行動を無くし、好ましい行動を身につけさせること。その際にオペラント条件付けを無意識に使っている。
$12 子どもでの理解
人間ではSkinner's boxの中の状況と同じようにはできません。。つまり人間がおかれている環境は複雑で、色々な無関刺激や無条件刺激が存在していて、人間の行動も探索刺激の情動行動は少なく、それ以外の情動行動や意識行動、習慣行動が中心となっているから、Skinner'sboxの条件が当てはまるのかどうかを良く検討して考える必要があります。しかし子どもを躾けるという意味では、条件反射、遅延条件反射からの理解が有効です。オペラント条件付けも条件を誤らなければ、理解がしやすい考え方です。
子どもがおかれている状態が先行刺激です。その環境下で何かをするのがオペラント行動です。その結果からご褒美をもらう(接近系)、又は叱られる(回避系)などが強化又は抑制因子です。子どもが何かの拍子に何かの行動をすると親や周囲の大人からほめられ、また同じ状況下で同じ行動をするようになる。それを繰り返すことで、その行動が習慣化するその行動がオペランド行動です。ただしオペランド行動を習慣化するには、親から褒められる必要があります。親以外の人から褒められることは強化因子になりますが、繰り返されることがないか少ないかで、習慣化にはそれほど効果が無いようです。
人間の場合強化因子には物質的な物や心理的な物など色々な物があります。そのものによって強化する程度が異なります。物質的な物の場合慣れがありますから、効果が段々落ちてきます。特に母親から褒められる強化因子は最大で、慣れがないのか特徴です。ですから母親が褒めることで条件付けるのが習慣化には一番効果的です。
人間の場合、回避系の強化因子は動物のようにその行動をしなくなる、つまり回避系の刺激から逃げる、逆にその行動を強める、つまり回避系の刺激から荒れる問題行動をする場合があります。それ以外にも回避系の強化因子により、他の動物には見られないよい子を演じる場合や心の病の症状を出す場合もあります。それらを踏まえて、オペラント条件付けを考える必要があります。
子どもの習慣化1)子どもが朝家の前の掃除をたまたましたとします。それを見て母親がそれを褒めました。すると子どもは朝家の前の掃除をするようになってきます。その子どもの掃除を母親が褒め続けることで、朝家の前の掃除をすることが子どもの習慣になって行きます。この場合先行刺激は朝の家の前、オペラント行動は掃除をする、接近系の強化因子は母親が褒めることです。
子どもに朝家の前のお掃除をしておいてねと母親が頼んだ(prompt)ので、子どもが朝家の前のお掃除をした場合も同じです。母親が喜んでくれたと言うことが接近系の強化因子になっています。
母親が喜ぶ代わりにお菓子やおもちゃをくれた場合です。これも同じ結果が出ますが、お菓子やおもちゃには接近系としての慣れがあります。繰り返すたびに接近系が弱くなっていき、お菓子やおもちゃを他のお菓子やおもちゃに変えるなど接近系の強化因子であり続ける必要があります。母親が喜んだ場合には、お菓子やおもちゃ以上に習慣化されます。母親はお菓子やおもちゃ以上に接近系で、かつ慣れがないので、子どもは母親が喜ぶだろうという思いからだけでも強力な強化因子になります。
母親以外の大人に褒められても、子どもの行動は習慣化します。しかしこの場合大人に褒められたことが母親に伝わることで強力な強化因子になります。学校では先生が子どもを褒めることでそれが子どもの習慣化の強化因子だと考えます。しかしそれは先生が褒めたことが母親に伝わることで、先生が褒めたことがより強力な強化因子になります。母親に伝わらなければ、ただの大人が褒めたという以上の効果はありません。
子どもの習慣化2)子どもが朝家の前の掃除をたまたましたとします。それを見て母親がそれを叱りました。すると子どもは朝家の前の掃除を止めてしまいます。朝家の前の掃除をしないことが子どもの習慣になって行きます。この場合先行刺激は朝の家の前、オペラント行動は掃除をする、回避系の抑制因子は母親が叱ることです。
ところが人間は動物と違って意志や欲求があります。子どもが朝家の前の掃除をしたのは、その子どもなりに意味があります。その点がSkinner's
boxでの説明と異なります。子どもなりに理由があるから朝家の前の掃除をしました。それを母親が叱ったと言うことは、子どもの意思を否定したことになります。子どもはただ単に朝家の前の掃除をするのを止めるだけでなく、子どもの意思を否定されたことにより、泣いたり、母親に対して荒れたりします。
そればかりでなく、これを繰り返すことで、今まで接近系だった母親が回避系の要素を持つようになります。子どもがあることをして、それを母親が褒めても、母親が褒めたという強化因子が弱い物になってしまいます。
子どもの習慣化3)子どもが毎朝家の前の掃除をするという習慣(オペラント行動の習慣化でも同じです。この場合には必ずオペラント行動をする強化因子がどこかにあります)があったとします。ある朝たまたま子どもが家の前の掃除をしなかったとき、実際には無いと思いますが、母親がそれを褒めました。そうすると子どもは家の前の掃除をしなくなります。それを繰り返すことで子どもが毎朝家の前の掃除をするという習慣を無くすることができます。母親が存在する限りこの子どもが毎朝家の前の掃除をしないと言う習慣ができて続きます。母親が褒めることが、接近系の抑制因子になります。
そして母親がいなくなると、過去の習慣である家の前の掃除をするという習慣が段々と再び出てきます。子どもの脳の中には毎朝家の前の掃除をするという神経回路ができあがっていましたが、その神経回路が機能をするのを母親の接近系で押さえつけられていたからです。母親がいなくなることでこの神経回路を押さえつけていた物が無くなるために、この神経回路がこの機能をしだしたのです。決して神経回路がなくなっていたのではありません。
子どもの習慣化4)子どもが毎朝家の前の掃除をするという習慣があったとします。ある朝たまたま子どもが家の前の掃除をしなかったとき、母親がそれを叱りました。そうすると子どもは家の前の掃除を直ぐに始めます。母親が叱ることが回避系の強化因子に成ります。
それを繰り返すことで子どもが毎朝家の前の掃除をするという習慣を続けますが、家の前の掃除をすることは、脳科学的には母親から叱られることの回避行動になっています。母親が回避性の条件刺激になっています。そのために母親が存在する限り、回避性の強化因子が存在しますから、この子どもが毎朝家の前の掃除をしますが、それは見かけ上の習慣であり、母親がいないときには、家の前の掃除をしなくなります。
子どもの習慣化5)子どもが物を壊して父親に叱られて、子どもが泣き騒ぎました。子どもが泣き騒ぐのを止めた時、母親が褒めることで、子どもは父親に叱られても、母親がいると泣き騒ぐのを直ぐに止めるようになります。この場合先行刺激が父親であり、promptが叱ることであり、オペラント行動が泣き騒ぐことです。接近系の抑制因子が母親が褒めることです。これを繰り返すことで、子どもは母親がいる限り父親に叱られても泣き騒がなくなります。
これが母親が褒めるという強化因子でなく、お菓子などですと接近系の抑制が弱くなります。ここで注意をしなくてはならないことは、子どもは父親に回避系の条件刺激を学習してしまうことです。何もなくても父親を回避する、つまり父親に近づかなくなります。
そればかりでなく、父親が怒る頻度が多くなると、又父親の怒り方がひどくなると、子どもは父親ばかりでなく父親の周囲にあった物も回避系の条件刺激を学習してしまい、親や当人が気づかなくても回避系の条件反射を絶えず起こしていて、性格の変化を生じてしまいます。
子どもの習慣化6)子どもが物を壊して父親に叱られて、子どもが泣き騒いでいます。子どもが泣き騒ぐのを止めた時、母親も叱ることで、一時的に子どもは泣き騒ぐのを止めます(嫌悪刺激についての回避行動)が、その後子どもはよりひどく泣き騒ぐようになります。この場合先行刺激が父親であり、promptが叱ることであり、オペラント行動が泣き騒ぐことです。回避系の強化因子が母親が叱ることです。これを繰り返すことで、子どもは母親がいても父親に叱られていつまでも泣き騒ぐことになります。辛さに敏感になり、父親ばかりでなく父親の周囲にあった物も、母親ばかりでなく母親の周囲にあった物についても回避系の条件刺激を学習してしまい、親や当人が気づかなくても回避系の条件反射を絶えず起こしていて、性格の変化を生じてしまいます。
子どもの習慣化7)子どもが物を壊して父親に叱られて、子どもが泣き騒ぎました。子どもが泣き騒ぐのを止めた時、母親が褒めることで、子どもは父親に叱られても、母親がいると泣き騒ぐのを直ぐに止めるようになります。この場合先行刺激が父親であり、promptが叱ることであり、オペラント行動が泣き騒ぐことです。接近系の抑制因子が母親が褒めることです。これを繰り返すことで、子どもは母親がいる限り父親に叱られても泣き騒がなくなります。
これが母親が褒めるという強化因子でなく、お菓子などですと接近系の抑制が弱くなります。ここで注意をしなくてはならないことは、子どもは父親に回避系の条件刺激を学習してしまうことです。何もなくても父親を回避する、つまり父親に近づかなくなります。
そればかりでなく、父親が怒る頻度が多くなると、又父親の怒り方がひどくなると、子どもは父親ばかりでなく父親の周囲にあった物も回避系の条件刺激を学習してしまい、親や当人が気づかなくても回避系の条件反射を絶えず起こしていて、性格の変化を生じてしまいます。
子どもの習慣化8)子どもが物を壊して父親に叱られて、子どもが泣き騒いでいます。子どもが泣き騒ぐのを止めた時、母親も叱ることで、一時的に子どもは泣き騒ぐのを止めます(嫌悪刺激についての回避行動、よい子を演じた)が、その後子どもはよりひどく泣き騒ぐようになります。この場合先行刺激が父親であり、promptが叱ることであり、オペラント行動が泣き騒ぐことです。回避系の強化因子が母親が叱ることです。これを繰り返すことで、子どもは母親がいても父親に叱られていつまでも泣き騒ぐことになります。辛さに敏感になり、父親ばかりでなく父親の周囲にあった物も、母親ばかりでなく母親の周囲にあった物についても回避系の条件刺激を学習してしまい、親や当人が気づかなくても回避系の条件反射を絶えず起こしていて、性格の変化を生じてしまいます。
$13 行動条件反射
情動を生じることがない行動(無関行動)と無条件刺激が提示されたとき、無関行動が無条件刺激が持つ情動と同じ情動を持つ情動行動になります。行動自体が情動を誘発する条件刺激になります。
脳科学的に表現するなら、
1)条件反射は大脳辺縁系扁桃体にある無関刺激(弱い情動刺激でも生じる)の概念に相当する神経細胞と無条件刺激の概念の概念に相当する神経細胞の間に促通を生じて繋がっています。それ以後扁桃体内の無関刺激(条件刺激=情動刺激となっている)の概念の興奮が無条件刺激の概念の神経細胞を興奮させて、無条件反射の情動を表現する場合です。
(則坐核での研究はなされていますが、扁桃体で話されていません。接近系の条件反射、回避系の条件反射に共通な脳神経核は扁桃体です)
2)遅延条件反射は、無関刺激(弱い情動刺激でも生じる)の短期記憶(5秒以内)が前頭前野に存在していて、その情報がトップダウンに扁桃体にある無関刺激の概念に相当する神経細胞を興奮させているところに、無条件刺激の概念に相当する神経細胞が興奮して、無関刺激の概念に相当する神経細胞と無条件刺激の概念の概念に相当する神経細胞の間に促通を生じて情報が繋がってしまいます。それ以後無関刺激(条件刺激=情動刺激となっている)の概念の神経細胞の興奮が無条件刺激の概念の神経細胞を興奮させて、無条件反射の情動を表現する場合です。
3)オペラント条件付けは、前頭前野にある先行刺激の概念=無関刺激(弱い情動刺激でも生じる)の概念がある状態で、有る行動をすることで、前頭前野にある行動の概念ができたり選択されます。その選択されたそのある行動で強い情動を生じたとき、先行刺激の概念がたまたま行ったそのある行動と促通を生じ結びつきます。それと同時に大脳辺縁系扁桃体にある、又はその時できたある行動の概念と、その時生じた強い情動の概念とが促通を生じて、先行刺激の概念が無条件刺激の情動刺激に変化をします。その有る行動が情動行動に変化をします。
4)行動条件反射とは、ある行動(無関行動、弱い情動行動)をすることで前頭前野にその行動をさせる概念に相当する神経細胞ができます。その情報がトップダウンに扁桃体にあるその行動の概念に相当する神経細胞を興奮させているところに、無条件刺激の概念に相当する神経細胞が興奮して、その行動の概念に相当する神経細胞と無条件刺激の概念の概念に相当する神経細胞の間に促通を生じて、情報が繋がってしまいます。それ以後その行動の概念の神経細胞の興奮が無条件刺激の概念の神経細胞を興奮させて、無条件反射の情動を表現する場合です。行動自体が条件刺激になっている場合を行動条件反射と言います。行動を誘発するのに先行刺激が必要ですが、行動と情動との関係を考えるときには先行刺激を考える必要が無くなります。
5) Skinner's boxで説明するなら、ネズミがボタンを押す行動と餌という接近系の刺激が同時に提示されることで、ボタンを押す行動が接近系の条件刺激となりました。それ以後、ネズミがボタンを押す行動をネズミから求めてするようになり、その都度与えられる餌が接近系の条件刺激の効力を強めていきます。ボタン自体も接近系の条件刺激になっていますので、どちらがネズミにとってより強い条件刺激なのかという問題になります。推測ですが、ボタンが持つ条件刺激よりボタンを押す行動自体が持つ条件刺激の方が強いのではないかと思います。
例えばネズミが餌を食べようとしたときに、そのネズミの舌に電気刺激で痛みを与えると、ネズミはどんなに空腹でも餌を食べようとしなくなり、餓死してしまうという反応があります。これは餌を食べるという行動が強力な痛みという回避系の無条件刺激で、回避系の条件刺激になってしまったと考えられます。
6) 行動条件反射の考え方の特徴は、
1)行動のきっかけを考える必要が無い
2)行動自体が情動の条件刺激になる
3)無関行動の結果が生じる情動が、行動の条件刺激になる
4)情動行動の結果が生じる情動で、行動の条件刺激が変化をしていく
です。
Skinner's boxで説明で再度説明するなら、
1)ネズミの未だ習慣化していないボタンを押す行動について、ネズミがボタンを押す行動をしたとき、その結果が接近系なら、ネズミのボタンを押す行動が接近系の条件刺激となり、ボタンを押す行動が繰り返されます。
その結果が回避系なら、ネズミのボタンを押す行動が回避系の条件刺激となり、ネズミはボタンを押す行動をしなくなります。大本のボタンを押すことを経験していない状態と一見同じになります。しかしネズミはボタンを回避しようとするのが違いです。
どちらも同じ結果が繰り返し生じることが条件で、その行動が習慣化していきます。習慣化を維持するために、同じ結果が繰り返される必要があります。その行動が習慣化していても、その行動の結果に習慣化が依存をしていると表現できます。それ故にその結果が繰り返さなくなれば、有る時間が経過すると、その結果がなかったと同じになります。ネズミがボタンを押さなくなります。
2)ネズミのボタンを押す行動が習慣化していて、ネズミが何かの理由でボタンを押さないとき、ボタンを押さない行動の結果が接近系だと、ボタンを押さない行動が接近系の条件刺激になり、ボタンを押さなくなります。結果が繰り返されることでネズミがボタンを押さない行動が習慣化します。
その結果が回避系だと、ネズミがボタンを押さない行動が回避系になり、ネズミはボタンを押す行動を続けます。ボタンを押す行動は元々の習慣化されていた行動と同じになります。ボタンを押さない行動は同じでも、ボタンを押さない行動は回避行動になりますから、ネズミはその前より、よりボタンを避けるようになります。
3)ネズミのボタンを押す行動が習慣化していて、そのネズミがボタンを押した結果が接近系のままだと、ネズミはボタンを押し続けます。
ネズミがホタンを押す行動の結果が回避系になったなら、ネズミはボタンを押す行動をしなくなります。
ボタンを押す行動をしなくなってある時間が経つと、ネズミはボタンを押す行動を少しずつ再開するようになります。その際にボタンを押す行動の結果が回避系でなければ、ボタンを押す習慣が再開されます。
4)ネズミが既に何らかの回避行動を続けている状態で、ネズミのたまたまボタンを押す行動の結果が接近系なら、ネズミがボタンを押す行動が接近系となり、ボタンを押すようになります。ボタンがある限りネズミはボタンを押すようになります。
ネズミが既に何らかの回避行動を続けている状態で、ネズミのたまたまボタンを押す行動の結果が回避系なら、ネズミのボタンを押す行動も回避系になり、ネズミはボタンを避けて回避系の行動を続けます。
5)ネズミが既に何らかの回避行動を続けている状態で、ネズミにとって接近系を与えますと、ネズミは続けている回避行動を止めてしまいます。しかしある時間が経つと又その回避系の行動を続けるようになります。
ネズミが既に何らかの回避行動を続けている状態で、ネズミに取って回避系を与えますと、ネズミはその与えられた回避系への回避行動と今まで行っていた回避行動と、両方を行うようになります。回避行動がより強くなります。
$14 人間の子どもの場合
ネズミなどの動物の条件付けは少ない回数の条件付けで条件付けができあがり、それが条件反射やオペランド条件付けの結果です。それ以上の観察がなされないのが普通です。もし条件付けができあがった後も同じ条件を続けたなら、その結果は変化をしてきます。条件付けに使われた無条件刺激が接近系なら接近系の刺激の慣れの問題、すなわち行動の結果が接近系でも、接近系の効果が弱くなり、最終的には接近系の効果が無くなり、行動の結果が無関刺激になります。その代わりに習慣化という要素が大きくなってきます。
回避系なら回避系の刺激の相乗効果の問題があるからです。回避系の効果が強まっていき、回避系の要素が強まると、その人の周囲にある物にも回避系の条件刺激を学習してしまい、絶えず不安状態になってしまいます。
それ以外にも人間では回避行動としてよい子を演じるという行動があります。見かけが接近系の行動ですが、実際は回避行動なのです。人間の子どもでは頻回に見られますから、子どもの行動を動物の行動と同じ様に判断することができません。
まず短期的な行動条件付けを人の子どもの場合で考えてみます。子どもがよい子を演じないで、素直に反応をしている場合です。
1)子どもの未だ習慣化していないある行動(例えばお手伝い)について、子どもがある行動をしたとき、その結果が接近系なら、子どものその行動が接近系の条件刺激となり、その行動が繰り返されます。
その結果が回避系なら、子どものその行動が回避系の条件刺激となり、子どもはその行動をしなくなります。その行動をすることを経験していない状態と一見同じになります。しかし子どもがその行動をすることが回避行動になりますから、間違ってその行動をすることは少なくなります。
どちらも同じ結果が繰り返し生じることが条件で、その行動が習慣化していきます。習慣化を維持するために、同じ結果が繰り返される必要があります。その行動が習慣化していても、その行動の結果に習慣化が依存をしていると表現できます。それ故にその結果が繰り返さなくなれば、ある時間が経過すると、その結果がなかったと同じになります。子どもはそのある行動をしなくなります。
2)子どものある行動が習慣化していて、子どもが何かの理由でそのある行動をしなかったとき、その行動をしないことの結果が接近系だと、そのある行動をしないことが接近系の条件刺激になり、そのある行動をしなくなります。結果が繰り返されることで子どもはその行動をしないことが習慣化します。
その結果が回避系だと、子どもがそのある行動をしないことが回避系になり、子どもはそのある行動をし続けます。そのある行動をしないことを止めた行動は、元々の習慣化されていた行動と同じになります。元々の行動と同じことをしますが、間違ってそのある行動をしないことは少なくなります。
3)子どもがするある行動が習慣化していて、その子どもがするある行動の結果が接近系のままだと、そのある行動をし続けます。
子どもがする習慣化したある行動の結果が回避系になったなら、子どもはそのある行動をしなくなります。
そのある行動をしなくなって、ある時間が経つと、子どもは習慣化していたそのある行動を少しずつ再開するようになります。その際に再開した行動の結果が回避系でなければ、ボタンを押す習慣が再開されます。
4)子どもが既に何らかの回避行動を続けている状態で、子どもがたまたまその回避行動以外の何かの行動をした結果が接近系なら、その何かの行動が接近系となり、その何らかの回避行動をしないで、その何かの行動をするようになります。その何かの行動を生じる原因が存在する限り、その何かの行動をし続けます。その何かの行動を生じる原因が存在しないときには、元々の回避行動を続けます。
子どもが既に何らかの回避行動を続けている状態で、子どものたまたまその回避行動以外の何らかの行動をした結果が回避系なら、子どもがたまたましたその行動も回避系になり、そのたまたました行動の原因がある限り、その行動を続けますし、そのたまたました行動の原因がなくなると、子どもは元の回避行動を続けます。
$15 具体例で説明をします。
1a)子どもがたまたま母親のお手伝いをしました。それを母親が褒めたとき、子どもがお手伝いをする行動が接近系の条件刺激になります。子どもは好んで母親のお手伝いをするようになります。母親が褒める限り子どもは好んで母親のお手伝いをするようになりますし、習慣化していきます。
この際に子どもの周囲にある物に接近系の条件刺激を学習しますが、現実に学習した条件刺激は弱くて無視できますし、時間と共に消失します。
子どもがたまたま母親のお手伝いをしたときに、母親がお菓子などの物を与えた場合、子どもはお手伝いをするようになりますが、繰り返しても子どもは段々お手伝いをしなくなります。お菓子は接近系の強化因子ですが、繰り返すことで接近系は弱くなり、ご褒美の意味合いが薄らいでいくからです。そのためにご褒美のお菓子を別のお菓子や別の物にする必要があります。
1b)子どもが壁に絵を描きました。母親が壁に絵を描いたことを叱ると、壁に絵を描くことが回避系の条件刺激になり、子どもは壁に絵を描かなくなります。この際に子どもの周囲にある物を回避系の条件刺激として学習しますが、現実に学習した条件刺激は弱くて無視できますし、時間と共に消失します。但し、この叱られる間隔が短いと、また叱られ方が強いと、周囲にある物が回避系の条件刺激として残ったまま、新たに回避系の条件刺激として学習することで、回避系の相乗効果で、回避系の条件刺激の効果が強くなり、その効果が消失するのに時間がかかるようになります。
子どもがお手伝いをすると母親が褒めることが繰り返し生じることで子どものお手伝いが習慣化していきます。習慣化しても母親が褒めるのを止めると、子どもは段々お手伝いをしなくなります。最終的にお手伝いをしなくなります。
壁に絵を描くことで叱られた子ども、壁に絵を描くことで繰り返し叱られることで、壁に絵を描かなくなり、習慣化します。ただ、叱られることが繰り返されたことで、壁や子どもの周囲にある物に回避系の条件刺激をかなり強く学習しています。壁に絵を描かなくなっても、心が不安定になっていて、何かの折にその回避系の条件刺激に反応をして、思わぬ回避行動をするようになります。所謂性格が曲がった子どもとして理解されるようになります。
2a)学校で子どもが虐められました。子どもは反撃をしないで虐めをかわしました。母親が反撃をしなくていじめをかわしたことを褒めました。この場合虐めに反撃をしないで虐めをかわしたことが接近系になります。子どもはこれ以後虐めを反撃しないでかわすようになります。
2b)学校で子どもが虐められました。子どもは反撃をしないで虐めをかわしました。母親が反撃をしなかったことをだらしがないと叱りました。この場合虐めに反撃をしないことが回避系になります。子どもはこれ以後虐めを反撃するようになるか、反撃できないときには心がとても辛くなります。
3a)子どもの夜更が習慣化していて、子どもが何かの理由で夜更かしをしなかったとき、夜更かしをしなかったことを母親が褒めたなら、子どもは夜更かしをしなくなります。その後母親が夜更かしをしなかったことを褒めることを止めたなら、子どもは習慣化していた夜更かしをするようになり、夜更かしを続けます。母親が夜更かしをしなかったことを褒めることが続いていたら、子どもは習慣として夜更かしをしなくなります。
3b)子どもが毎日自分の部屋を整理整頓していました。ある日その整理整頓をしないでいると母親に叱られたとき、子どもの整理整頓をしない行動が回避系になります。子どもは整理整頓を続けます。習慣化していた整理整頓を忘れるときが少なくなります。
子どもが母親に叱られる頻度が高くなると、子どもは子どもの周囲にある物を回避系の条件刺激として学習してしまいます。多くの場合、それは時間と共に消失してしまいますが、中にはその回避系の条件刺激が残ってしまう場合があります。その場合には何かの折にその条件刺激に反応をして、思わぬ回避行動をするようになります。所謂性格が曲がった子どもとして理解されます。
4a)子どもが毎日自分の部屋を整理整頓をしています。その整理整頓を母親が褒めたなら、整理整頓が接近系になります。子どもはより一層整理整頓を続け、母親が褒め続けると習慣化していきます。
4b)子どもが食事をした後、そのまま食卓を離れて居ました。あるとき母親が食べた食器を片付けるように叱ったとき、食べた後の食器を片付けることが回避系になります。子どもは食事を食べたままにしないで、食器を流しまで運ぶようになります。それ以後母親が食事をした後に食器を流しまで運ばないことを叱らなかったら、子どもは段々食器を流しまで運ばなくなります。
$16 既に回避系の条件刺激に晒されている(例えば不登校で辛い思いをしている)子どもについて
接近系と回避系は相殺されますから、1a)、2a)、3a)、4a)の結果の接近系の効果が弱く成ります。その結果学ぶ行動条件反射は弱くなります。
回避系同士は相乗作用がありますから、1b)、2b)、3b)、4b)の結果の回避系の効果がより強く作用をします。その結果学ぶ行動条件反射が強くなります。それと同時に、回避系同士の相乗効果がとても強くなったとき、学んだ行動条件反射ばかりでなく、回避系が持つその子ども独特の回避行動を示す場合もあります。
1a)子どもがたまたま母親のお手伝いをしました。それを母親が褒めたとき、子どもがお手伝いをする行動が接近系の条件刺激になりますがその強さは弱いです。子どもは母親のお手伝いをするようになりますが、それほど一生懸命お手伝いをしません。母親が褒める限り子どもは好んで母親のお手伝いをするようになていきますが、習慣化は難しいです。
この際に子どもの周囲にある物に接近系の条件刺激を殆ど学習しせん。
1b)子どもが壁に絵を描きました。母親が壁に絵を描いたことを叱ると、壁に絵を描くことが回避系の条件刺激になり、子どもは壁に絵を描かなくなります。この際に子どもの周囲にある物を回避系の条件刺激として学習します。この叱られる間隔が短いと、また叱られ方が強いと、回避系の相乗効果を生じて、周囲にあるいろいろな物が回避系の条件刺激と学習してしまいます。子どもはそれらの学習した回避系の条件刺激に反応をするようになって、思わぬ回避行動をするようになります。所謂性格が曲がった子ども(問題児、発達障害など)として理解されるようになります。
2a)学校で子どもが虐められました。子どもは反撃をしないで虐めをかわしました。母親が反撃をしなくていじめをかわしたことを褒めました。この場合虐めに反撃をしないで虐めをかわした行動が接近系になります。但しこの接近系は弱いです。次回虐めを受けたとき、子どもは必ずしも虐めを反撃しないでかわすようにできるとは限りません。
2b)学校で子どもが虐められました。子どもは反撃をしないで虐めをかわしました。母親が反撃をしなかったことをだらしがないと叱りました。この場合回避系の相乗効果を生じ、虐めに反撃をしないことが強い回避系になります。子どもはこれ以後虐めをまともに受けてしまい、心にトラウマを受けてしまう場合があります。
3a)子どもの夜更が習慣化していて、子どもが何かの理由で夜更かしをしなかったとき、夜更かしをしなかったことを母親が褒めたなら、子どもは夜更かしをしなくなります。しかしその効果は弱く、またすぐに夜更かしをするようになります。習慣化は期待できません。
3b)子どもが毎日自分の部屋を整理整頓していました。ある日その整理整頓をしないでいると母親に叱られたとき、子どもの整理整頓をしない行動が回避系になります。子どもは整理整頓を続けます。それと同時に回避系の相乗効果を生じます。その結果母親に叱られたことへの回避行動を生じて、荒れたり母親への暴力を生じて、整理整頓の行動に至らなくなります。
4a)子どもが毎日自分の部屋を整理整頓をしています。その整理整頓を母親が褒めたなら、整理整頓が接近系になります。しかしその接近系はそれほど強くは有りません。整理整頓がそれほど一生懸命なされません。習慣化は期待できません。
4b)子どもが食事をした後、そのまま食卓を離れて居ました。あるとき母親が食べた食器を片付けるように叱ったとき、食べた後の食器を片付けることが回避系になります。子どもは食事を食べたままにしないで、食器を流しまで運ぶようになります。しかしそれと同時に、回避系の相乗効果を生じます。その結果母親に叱られたことへの回避行動を生じ手、荒れたり母親への暴力を生じて、食器の片付けは行われません。
$17 不登校の子どもへの考え方
1)子どもが不登校状態です。その子どもがある居場所に行ってその居場所が楽しければ、子どもはその居場所に行くようになります。その居場所が休みの時は、子どもは学校に行かないで家に居ます。
2)子どもが既に不登校で、親が子どもを無理に学校に連れて行ったとき、子どもは荒れてしまいます。それ以後親が学校に連れて行こうとすると荒れ続け親が学校に連れて行かないときには、子どもは不登校のままです。
3)子ども既に不登校で自分を責めて苦しんでいます。子どもがゲームなどの楽しいことを始めたなら、子どもは不登校であることを忘れて、ゲームにのめり込みます。ゲームができないと、子どもは不登校から自分を責めて苦しみます。
子どもが既に不登校で苦しんでいます。その不登校を親が責めたら、子どもは親を拒否するようになります。不登校の苦しみと親から受けた責めとで、子どもはとても辛い状態です。
戻る