何故登校刺激が悪いのか

不登校学会、心の病検討会に教育委員会の方が来られました。その際に何故「登校刺激が良くないのか」という質問がなされました。その質問への回答です。

1)大人の心(脳の機能)と子どもの心と大きく異なるという事実
大人の脳と、子どもの脳と異なります。子どもは言葉を話しますが、言葉で自分の行動を決定することはできません。子どもの行動は全て情動行動と考えると間違いがありません。

子どもの心を大人の心で考えても、子どもの心に沿っていないので、大人の考える不登校対策は子どもの心に沿っていない。子どもの心を考えるときには、子どもの情動(大脳辺縁系)の機能から考える必要があります。動物、特に類人猿から痲バブ必要があります。

2)大脳辺縁系の機能とは、接近系と回避系に大きく分けられます。接近系の学習はパブロフの条件反射です。回避系の学習は辛さを生じる条件反射(Lou Doux)です。不登校とは、辛さを生じる条件反射fecorの機能です。

3)専門家、学校の先生方など大人は辛さ(回避系)に慣れがあるように考えていますが、辛さに慣れがないばかりか、相乗効果があります。繰り返す辛さで、辛さ同士に相乗効果を生じて、教師から見たら些細なつらさでも、当人にはとても強い辛さと感じられて、辛さを生じる条件反射fecorを学習してしまいます。それらの辛い出来事は学校の中で行われますから、辛さを生じる条件刺激fecosは学校が一番強くなります。それ以外の物にも辛さを生じる条件刺激fecosを生じますが、その都度その都度異なりますから、それらの条件刺激はだんだん弱まっていき、共通の学校という辛さを生じる条件刺激fecosだけが残ります。

4)不登校の際の心の仕組みは、学校をfecosとするfecorの反応だと言うことは、不登校の子どもから学校を取り上げることで解決することから、間違っていないことが分かります。

5)学校に関する刺激=登校刺激(その仕組みを考えると学校刺激と言うべき)を与えるとfecorが反応して、子どもは辛さを表現します。その辛さの表現は子どもが持って居る本能と、それまでに子どもが身につけた習慣から異なってきますから一様ではありません。


来られた教育委員会の方は、検討会の参加者の子どもの経験の話から、これほど登校刺激が子どもを苦しめているのかという事実を知らなかったという感想がありました。不登校の子どもを持ったことがない大人では、どうしてもその大人の持っている知識から勝手に判断してしまうことは仕方ないことですが、それでは登校刺激で苦しんでいる子どもがあまりにもかわいそうです。


お医者さんへのお願い。

子どもの心が辛くてその辛さを回避できないときには、その子どもの性格が外向きに症状を表現しやすい子どもでは暴力という形で表現されることが多いです。このような子どもをお医者さんが診断すると「統合失調症」と診断されて薬が投与されてしまうことが多いです。
又辛さを内向きに表現しやすい子どもでは「鬱病」「発達障害」などの病名をつけられて、矢張り薬を投与されてしまうことが多いです。

この子どもの心の辛さを薬で隠すことはできますが、解決はできません。ほぼ間違いなく100%、学校というfecosに反応したfecorが出している症状だと気づいて欲しいです。



登校刺激を止めたら、子どもは好きなことだけをして、学校に行かなくなると考える先生や大人が多いです。それは子どもの心をなくした大人の考え方です。

不登校、引き籠もりの子どもは、登校刺激が無くなると、又家の中で家の中で楽しく過ごしていると、その心は普通の子どもと全く同じになります。子どもの本能が機能をするようになります。心が辛い子どもに関係する本能とは

1)母親に守られている必要
2)与えられた環境に順応するように成長をしようとする
3)自発的な心のエネルギーが大きい
4)子どもの集団を求める、新しいことを求める
の四つを踏まえて考えれば良いです。これらの本能は、ダーウィンの進化論から帰結されます。考えてみてください。

子どもが不登校、引きこもりの問題を解決して学校(子どもの集団)や社会に向かって成長するには、子どもの心が辛くなる場合があります。子どもは母親に守られている必要があります。子どもは母親以外の人にそれを求めないという事実があります。そのためにも母親を守ることで子どもの不登校、引きこもりの問題を解決できるのであり、基本的に母親以外の人では不登校、引きこもりの問題を解決できないのです。もし母親以外の人により子どもの不登校、引きこもりの問題が解決したと考えられる時には、子どもがよい子を演じている、子どもが無理をして大人にあわせていると考えなければなりません。

大人が家で楽しいことをしていたら、一生引きこもりを続けると考えます。それが間違いです。子どもは心が辛くなくなったら、子どもの本能から、積極的に自分の能力を伸ばそうとします。現状維持はしません。その伸ばす方向とは今自分が置かれている環境の中で、母親があって欲しいと希望をする方向です。子どもの周囲の人や物と一番軋轢を起こさない方向です。つまり子どもは周囲から求められる方向に成長をしていきます。子どもは周囲から嫌がられることをしません。もし周囲から嫌がられることをしたときには、子どもが失敗をしたと考える必要があります。その後子ども(心が辛くない)は必ず修正します。この能力は大人にはない能力です。

上記の子どもの成長する方向に向かって、子どもは子どもの能力を総動員して成長をします。その速度は子どもによって異なりますが、子ども自身は自分の持つ能力を最大限発揮します。これも大人にない能力です。

子どもの能力を伸ばすには、子ども自身がどの能力を求めるのかを、子ども自身で無理なく決めて行く必要があります。それは子どもの集団の中で可能になります。子どもは自分以上の能力がある子どもの真似をするだけで良いのですから。そしてその能力を得たときに子どもはとても大きな喜びを感じ、次の新しい能力を子どもは自分から求めます。そのために新しいことを求めようとします。それは学校に中にありますから、子どもは心が学校によって辛くされないなら、自分から学校に行ってしまいます。それは親が登校を禁止しても、子どもの方からそれを押しのけて行ってしまうほどです。

親が子どもに登校を禁止することで、学校で辛くなる子どもを守ることになります。また、子どもの心が元気になると、親が子どもに登校を禁止しても、子どもはそれを押しのけて学校に行ってしまいます。ですから、親だけは子どもが登校することを禁止することができます。


不登校学会検討会に参加なさった教師から、「不登校の子どもに教師として何かできることがありますか?」という質問がありました。

不登校の子どもは学校(fecos)に反応をする辛さを生じる条件反射fecorを持って居ます。それまで学校に行っていた子どもは、先生、勉強、友だちを意識すると、無条件で学校を連想します。つまり先生、勉強、友だちは、不登校の子どもに登校刺激になります。

子どもが不登校である限り、そして先生が子どもに近づく限り、子どもに先生を意識させる限り、子どもは登校刺激を感じて、先生を拒否します。先生に会おうとしません。又会ったとしても、先生が帰った後子どもがひどく荒れます。母親に強い不信感を持って、母親に不登校問題の解決法がなくなってしまいます。

子どもが不登校になって学校に来なくなったら、学校の先生には子どもの不登校問題を解決する方法はありません。母親に任せるしかありません。先生は不登校の子どもに何もしない方が良いです。しかし不登校の子どもの母親の多くはそれを知りません。何もできない学校を非難することがあります。それも先生方にはとても辛いことです。

不登校の子どもを無くするために先生ができることは、子どもの心は既に不登校でも、子どもが学校に来ている内に対応をすることです。子どもが学校生活を楽しめるように対応をすることです。但し先生が子どもに楽しいはずだとしてする対応でなくて、子どもが心から楽しいと感じる必要があります。

ではどうのようにして、心は不登校だけれど、学校に来ている子どもを見つけたら良いかと言う問題があります。そこで子どもの心が辛くなると、子どもはどのような反応を示すかを知っておく必要があります。子どもは心が辛くなると、 「子どもを辛くする物に対して則坐に反応をします」。
1)その辛いことから逃げようとします。
2)逃げられないときにはよい子を演じます。
3)よい子を演じられなくなると暴れたり、問題行動をします。
4)暴れたり、問題行動ができないと心の病の症状を出します。
これらの症状と平行して、子どもは自律神経の反応症状を出します。それは言葉を換えて表現すれば、心が辛いという意味です。

1)子どもがしばしば学校を休む、所謂五月雨登校をする場合、子どもの心が不登校の場合が多いです。常識的にはきちんと学校に来させる様に親に協力してもらう物ですが、子どもの立場から言うなら、安心して五月雨登校をさせてもらえるように教師は対応をすべきでしょう。
保健室登校、別室登校も、教室には入れないから、これらの場所に逃げて居ます。しかしこれらの場所も登校刺激になっていますから、学校を休ませてあげた方が子どもを不登校にしません。

2)子どもがよい子なら、先生方は本当にありがたいです。ところが子どもがよい子を演じて居る場合と子どもが本当によい子の場合と見分けるのは大変に難しいです。見分ける方法は、良い子過ぎる姿をしている子ども、陰で問題行動をしている子ども、母親の前と違う姿をしている子どもなどが参考になります。

3)子どもが暴れたり虐めや物を壊すなどの問題行動をしている場合、子どもの性格に問題があるので、性格を正す必要があると考えるのが常識です。しかし、子どもの立場から言うなら、学校が辛いから無意識にこの様な行動に出ています。この子どもは学校のことで苦しんでいると先生方は理解する必要があります。子どもが暴れたり問題行動をしない場所に子どもを保護して、学校に反応をするトラウマ=fecorが消失するのを待つ必要があります。

4)子どもが心の病の症状を出しているときには、常識的には病院に連れて行って治療を受けさすのですが、子どもには心の病はありません。全て辛さに耐えかねて心の病の症状を出しています。子どもが心の病の症状を出さないところにかくまって、学校に反応をするトラウマ=fecorがなくなるのを待つ必要があります。

不登校の子どもに先生方ができる対応とは、子どもが1)と2)の段階で、対応をしてもらうしかありません。

ところが先生が学校で子どものためによかれとして続けてきている対応で子どもは辛くなって不登校の心(学校に反応をするトラウマ=fecorを持ってきている)になって来ています。つまり先生方には不登校の心を持った子どもの心が分からないという意味です。先生方が知っていらっしゃる子どもの心とは不登校の心を持たない子どもの心だからです。


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