パニック障害の診断基準

 パニック発作というのは、以下のような十三の身体的・認知的症状のうち四つ以上を示すもの(米国精神医学協会による「診断・統計マニュアル 第四版」いわゆる「DSMー4」とされている。

(1)動悸、心悸こう進、または心拍数の増加

(2)発汗

(3)身震い、または震え

(4)息切れ感、または息苦しさ

(5)窒息感

(6)胸痛、または胸部不快感

(7)嘔気、または腹部の不快感

(8)めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、または気が遠くなる感じ

(9)現実感消失(現実でない感じ)、または離人症状(自分自身から離れてい   る)

(10)コントロールを失うことに対する、または気が狂うことに対する恐怖

(11)死ぬことに対する恐怖

(12)異常感覚(感覚麻痺、またはうずき感)

(13)冷感、または熱感

 若い女性たちの間に蔓延している過換気症候群(過呼吸発作)も症状的に酷似しており、同時に起こすことがある。

 もっとも、この種のパニックは甲状腺や副甲状腺の機能こう進症や、不整脈を伴う心疾患でも起きるし、覚醒剤、大麻、カフェイン(コーヒー)などの薬物摂取でも起きるので、これらを慎重に除外しなければならない。

 このパニック発作には精神安定剤がもちいられることが多いが、その退薬症状(いわゆる禁断症状)もまたパニック発作によく似ているので、これらの正確な診断は意外にむずかしいのである。事実、患者の多くはかなりの長い期間、内科を受診し続けてから精神科にまわってくることが多い。

 

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