ホームスタディー制度

週刊金曜日第403号 2002.3.15  投書
 埼玉県志木市は学習意欲がありながら引きこもっている不登校児の自宅に教員を派遣し、自宅で授業する「ホームスタディー制度」を新年度から始める。学ぶ権利を保障し、小中学校に復帰させることが目的で、授業を受ければ出席扱いとする、との記事が新聞に出ていました。
 志木市のこの試みはすばらしいように見えますが、重要な点を見落としている可能性があります。それは「学習意欲がある」と判断する根拠です。きっと子供が勉強したいと言う場合を学習意欲があると指していると思います。その言葉が子供にとって、本心の場合と知識の場合とがあります。引きこもっている子供達が「勉強をしたい」と言った場合、大半は知識からです。本心は学校、又は学校に関連する物で恐怖を感じるから引きこもっています。勉強は学校に関連する物ですから、引きこもっている子供は勉強をしようとはしません。勉強をさせようとすると色々な症状や不適応行動を出してきます。
 現在登校拒否以外の理由で自宅に引きこもっている子供は皆無に近いです。それらの子供達は学校や学校に関連する物に恐怖を感じています。先生、それに類似する人に会うと恐怖を生じます。勉強そのものも恐怖を生じさせる場合が大半です。そのような子供には、学校又は学校に関する物に恐怖を生じさせないようにする必要が有ります。その為の対応を抜きにして、学習を押しつけることは子供の人権侵害になります。学習を拒否している子供への支援とは、学校や学校に関する物に恐怖を感じている子供達の心を癒す対応です。義務教育を受けるかどうかは子供が自分の心の状態から、結果的に自分で決めることです。引きこもりの子供の心の成長のためには、子供は学校に関係しないで成長する必要があります。

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